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マンボウのひみつ

[海の生き物]

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2018年1月27日 池袋 サンシャイン水族館にて
マンボー博士 澤井悦郎さんの講演会に行ってきました。

この日学んだことを記しておきます。

フグ目マンボウ科マンボウ属
日本近海で確認されているマンボウは
・マンボウ
・ウシマンボウ
・ヤリマンボウ
・クサビフグ

南半球でしか今の所確認されていない新種
・カクレマンボウ(Mola tecta)
tectaはラテン語で「隠された〜、秘密にされた〜」という意味。
2017年に皮膚サンプルのDNA解析によって初めて別種の存在が判明したもので、
外見ではマンボウとの区別が容易ではないため、
従来はその存在が認知されなかったいわゆる隠蔽種であることに由来。
同様の理由で 和名も「カクレマンボウ」と名づけらたそうです。


アカマンボウ(Lampris guttatus)は
アカマンボウ目アカマンボウ科 (Lampridae) に属する深海魚。
別名、マンダイ。
体型はマンボウ (Mola mola) に似ていますが
マンボウの仲間ではなく、リュウグウノツカイに近縁の魚です。

マンボウは尾鰭(おびれ)がなく、舵鰭(かじびれ)があります。
ちなみに、マンボウは白身ですが、アカマンボウは赤みです。


日本の水族館でのマンボウ飼育の歴史
1950年代 最長10日間しか飼育できず。
1960年代 21日間飼育可能に。
1970年代 1ヶ月以上の記録達成
1979年  鴨川シーワールドで1年以上の飼育達成。
1990年  鴨川シーワールドで8年2ヶ月という世界最長飼育記録達成(現在も世界一)

ちなみに
ヤリマンボウの最長飼育記録は43日間
クサビフグは24時間が最長記録

水族館ではマンボウの個体交換を定期的にしている。
大きくなり過ぎると大変なため。

マンボウは海中での上下移動が激しいですが
表面水温だと16〜20度が適水温。

マンボウは淡水では水を吸収し過ぎて生きられない。

マンボウのフン(排泄物)は白い粉状。アンモニア態窒素(強毒)が含まれている。
それを微生物が分解して亜硝酸態窒素に。
それをさらにバクテリアが分解して硝酸態窒素(弱毒)になる。
ちなみに尿は無色透明。

マンボウの一般的な遊泳速度は秒速60cm。
秒速250cmの黒潮にも逆らって泳げる。

2000年代前半まで、マンボウは図鑑には出ているけど論文は皆無。
マンボウを飼うためには、生態の基礎知識が必要。
日本では水族館が整体の研究を始めた。
飼育→死亡→解剖の繰り返し。

マンボウとカツオは生息域の水温が近いので
マンボウが見つかると、カツオもいる!ということで
1960年代以前は 漁師から『大漁の神』と呼ばれていた。
ちなみに
水族館にマンボウが登場するまでは漁師さんくらいしかマンボウを知らず
世間的にはかなりマイナーな魚だった。

ハズバンダリートレーニングをマンボウにもしている。

【マンボウの寄生虫事情】
・単生類、カイアシ類
・腸の中には条虫、吸虫

【エサ事情】
エビ・イカ・貝・牡蠣・アジなど
骨や殻は除去して、ミキサーですりつぶして
ビタミン剤や虫下しの薬を添加して団子状にして与える。
1日2回、体重の0.3〜3%の給餌率。
エサは噛まずに吸い込んで食べる。

性格はおとなしい。
イルカに体当たりされても、天敵に食べられても
逃げない時がある。
捕食の際は、積極的に小魚を追いかける。
マンボウは活発に泳ぐ魚。

約1秒間に1回ほど、ヒレを振る。
場合によりたくさん振っても呼吸があらくならないことが確認されている。

皮下ゼラチン層は、海水より比重が軽く、浮力の役割をしている。
(マンボウには浮き袋がないため。)

群れを好まない。

飛び上がるほどではないが、水中から勢いをつけて海面をジャンプする。

水族館の水槽では壁にぶつからないように透明のビニールシートで水槽全体を
覆ったりしているが、まだまだ壁に口から衝突し、タラコ唇になってしまう。

日本は水族館に『魚医』がいないので獣医が診断する。

日本は世界最多のマンボウ飼育国。

飼育下で研究された海外の事例はほぼ皆無。

2018年現在、日本の水族館のマンボウ研究は停滞期。


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マンボウの子供が綺麗に乾かされたもの。

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深海が好きなチョークアートデザイナーズ協会熊木さんの作品。

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マンボウ愛を感じます。

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写真左がマン帽子を被って、マンボウや水族館について
熱弁してくださったマンボウ博士の澤井悦郎さん。


こちらが澤井悦郎さん著者の
『マンボウのひみつ』(岩波ジュニア新書)

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なんと、マンボウに関しての本は、江戸時代以来200年ぶり。

ネット上では、マンボウ最弱伝説やマンボウの都市伝説などが
色々と書かれていますが、現在の本当の最新情報が知りたい方には
オススメの一冊です!

表紙の絵にもこだわりが。
奥に描かれた小さいのがマンボウ。
手前に大きく描かれているのがウシマンボウ。
ウシマンボウに寄り添う掃除魚(Cleaner fishes)として
マグロヒジキムシやクロコバン

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周りに泳ぐのは、オトメベラ、ミゾレチョウチョウウオ、
タテジマキンチャクダイ、ムレハタタテダイなども細かく描かれています。
ウシマンボウのサイズ感がわかるように、ダイバーも。

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そして、帯紙はなんと!
さかなクン先生!

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すぎょい!

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カクレマンボウのチョークアートもありました。

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サンシャイン水族館、営業時間終了後に催されたこの企画。
海の生き物が大好きな方々が
愛をもって真剣に参加されている印象でした。

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今後も色々な勉強会の開催楽しみにしています!


サンシャイン水族館 
sunshine aquarium
ホームページ http://www.sunshinecity.co.jp/aquarium/index.html

酢飯屋公式ブログの
まんぼう・マンボウ・翻車魚・Ocean Sunfish・Mola mola】には
マンボウの解体シーンやマンボウのお寿司なども写真がございます。
ご興味のある方はご覧くださいませ。