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『いりこ』と『煮干し』の違いは?

[乾物海の生き物食遊び]


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『いりこ』と『煮干し』の違いは?

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これ、同じです。
一般的には、「カタクチイワシ」を煮て干したものを指します。
ウルメイワシやマイワシ、イカナゴ、サバ、トビウオなども使われることがあります。

いりこで有名な地域といえば、瀬戸内海にある伊吹島(いぶきじま)です。

その名も【伊吹いりこ】は、
香川県観音寺市・伊吹島の沖合で漁獲されたカタクチイワシを伊吹島で加工し、
伊吹漁業協同組合が取り扱うブランドいりこです。
鮮度が落ちるのが早いカタクチイワシは、漁場から煮沸までにかかる時間の長さで品質が左右されます。
伊吹島は漁場の真ん中に位置しているので、どこで獲ってもすぐに伊吹島に運び、加工することができるため
高品質の伊吹いりこができます。
漁獲から加工までを『網元(あみもと)』と呼ばれる網や漁船を有する漁業者が一貫して行うことで
時間的なロスが少ないことも特徴です。

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こちらは、伊吹島の網元の一つ『山一水産』さんの伊吹いりこ


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伊吹島のカタクチイワシ漁は、6月から9月頃まで。
時期によって獲れるカタクチイワシの大きさが変わります。

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解禁日の6月中旬あたりから下旬までは
体長8cm以上ある『大羽(おおば)』 (※写真は10cmありました。)

その後、

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『ちりめん』(1〜3cm)

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『かえり』(3〜4cm)

『小羽(こば)』(4〜6cm)
『中羽(ちゅうば)』(6〜8cm)と続きます。

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かえりとちりめんを合わせて

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かえりちりめんとしても売られていたりします。

伊吹島のカタクチイワシ漁は4隻一組で行われます。
網を引く2隻の船に、獲れたカタクチイワシを運ぶ2隻の運搬船。
高性能の魚群探知機でカタクチイワシの群れをみつけて、伊吹島の周りをぐるぐると追いかけ回ります。
群れを見つけると、網を海に入れながら両船は100mほど離れてその群れをキャッチするように2隻で網を引いていきます。
二隻船引き網という漁法。
その際の網全体の様子が『絹のももひき(通称:パッチ)』に似ていることが『パッチ網』とも呼ばれる漁法の名の由来です。
一度に大量のカタクチイワシを網に入れず、またなるべく傷つけないために
網を絞り過ぎないように細心の注意をはらいながらの漁は、
2隻が再び寄り添い、網を巻き上げて、獲れたカタクチイワシは海水氷をたっぷり詰んだ高速運搬船の水槽に流し込みます。
運搬船は猛スピードで伊吹島の岸壁に並ぶ加工場に戻ります。
その時間およそ5分ほど!
到着してすぐにフィッシュポンプを使って、船から加工場にカタクチイワシを直送します。
漁獲して陸揚げ・洗浄選別までを約10〜30分で終えて
次にセイロを約10枚ほど重ね、沸騰した湯で3〜5分煮沸。
さっきまで海を泳いでいたカタクチイワシがあっという間に茹でられて、
水揚げから2時間以内には乾燥機に入ります。
乾燥時間はカタクチイワシのサイズによって異なります。
『ちりめん・かえり』は40度で3〜5時間
『中羽・大羽』は40度で5〜12時間ほど
その後、サイズ選別されて、異物検査を経て出荷となります。
この鮮度から加工までスピードが間違いなく伊吹いりこのクオリティに現れているのだと思います。

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いりこは様々な栄養成分が含まれていますが、特にカルシウムの含有量が高いです。
乳製品との比較表などを見ると桁違いです。
他にも、鉄分、ビタミン群、カリウムなど強い身体作り、おやつには最高の食材です。

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いりこの旨味成分の主体はイノシン酸です。
その濃厚な旨味が、小麦の味主張の強い讃岐うどんにマッチします。
伊吹いりこは脂肪の含有率が少なく、油焼けしにくいので品質を保ちやすいというのも特徴の一つで、
その中でも、背が黒く、銀のついた『銀つき』と呼ばれるごく一部のいりこは最上級品として取引されています。

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【オススメのだしのとり方】は、
お鍋に水と丸のままのイリコを入れて火にかけ、沸騰する前に火を止めてしばらくそのままにしてじっくり抽出する方法です。
(伊吹島いりこは、頭や腹わたを取らなくても雑味や苦味より旨味が強いのでそのままで美味しい出汁がとれます。)

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魚を触るのが大好きな子供たちは、いりこにも夢中です。

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頭取らなくても良いよと言っても、頭を取りたい子供たち。

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内臓もポロリと。

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出汁の味比べしても良いね!

遊び感覚で出汁取りのお手伝いをしてくれるのは親孝行だよ。
大きくなっても手伝ってくれよな。
というか、
大きくなったら料理作ってくれよな。
一生息子の応援団 父より

いりこ・イリコ の原料『カタクチイワシ』についてはこちらからどうぞ。
https://www.sumeshiya.com/blog/2016/08/mt-preview-42e39234a664c7a6c5aaca0dca15050eb56963f5.html