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たましきごかい・タマシキゴカイ・Arenicola brasiliensis

[海の生き物]

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写真はタマシキゴカイの糞(ふん)です。

動物界 Animalia
環形動物門 Annelida
多毛綱 Polychaeta
イトゴカイ目 Capitellida
タマシキゴカイ科 Arenicolidae
Arenicola属
タマシキゴカイ Arenicola brasiliensis

潮間帯の砂泥地、干潟などに住み、泥の中に深いU字型の棲管を作り、
砂を食べて有機物を消化したあと、外に糞を積み上げます。
こうして、海を浄化してくれる生き物、畑で言うミミズのようなイメージですね。

日本では北海道南西部以南に見られ、
南北米両大陸の東西海岸、ウラジオストクから中国沿岸、
インド及びオーストラリアに広く分布しています。

体長は6〜30cm。
体色は生息地によって変異があり、赤黄色から灰黒色まで様々です。
泥地のものは暗緑色か灰黒色、砂地のものは赤黄色になる傾向があります。
体は太くて円筒形で、体の前には鰓(エラ)のない体前部があり、
それから樹状に分岐した発達した鰓のある鰓部が続き、
底から後ろは細長い尾部があります。
尾部の長さは6〜9cmほどになります。
体の前半がやや太く、後方は細いです。
各々の体節は外見上は5つの環節に分かれ、表皮は厚くて網目状です。
口前葉は小さくて3つに分かれており、付属する突起や目はありません。
それに続く2体節には剛毛はなく、その腹側に口が開きます。
咽頭は口吻として突き出すことが出来、袋状になり、表面には乳頭様の突起があります。
疣足は二叉型ですが背疣足の突出は弱く、先端は断ち切られた様になっています。
鰓部では背疣足の後ろに鰓があります。
腹疣足は縦長の隆起になっており、鉤状剛毛の列が一列に並んでいます。
腹疣足の腹剛毛列は長く、腹面中央で接するほどになります。
剛毛節は17あり、第7毛節から第17毛節までに11対の房状の鰓があります。

干潟の砂泥中に、トンネル状の棲管を作って、その中に潜みます。
棲管は深さ30〜60cmまで垂直に掘られ、その内側は粘液で裏打ちされています。
垂直に掘られた底から棲管は横に伸び、その先端からは裏打ちされないトンネルが地表まで掘られます。
従ってその全形はUの字状となります。
本体はその管の中で、裏打ちされていないトンネルの側に頭を向け、
体の伸縮と鰓の運動を利用して尾の方から海水を呼び込み、
それによって頭部の前方に上から砂泥を引き込みます。
そのようにして崩して食べやすくした砂泥を飲み込むと、
穴の中を尾の方へと後退してゆき、肛門を穴の外に出して糞を外に出します。
その後に再び頭の方から潜り込み、
また海水を取り込みながら頭部の方から砂泥を飲み込みます。
これを繰り返すと頭部側のトンネルでは
表面から砂泥が吸い込まれてゆくために中央がくぼんだすり鉢状の部分が出来、
反対の口には、モンブランのような糞塊ができあがります。
この形状が面白いので、
・海のモンブラン
・砂うどん
・砂のパスタ
などその時の気分で好き勝手に呼んでいます。
海水の取り込みには新鮮な海水から酸素を得るための意味もあります。
タマシキゴカイは、10回前後砂を飲み込み、そこで数分間休息し、
次は後退して糞を外に出す形でかなり正確な反復運動を繰り返します。
ちなみにこのようにして作った糞塊は、満潮によって平らに均されてしまいます。
卵塊は、春から夏に水風船のようなものが海底に見られます。
球形の寒天質になり、海底に一端がくっついています。

潮干狩りシーズンの時期
U字型の巣穴の、肛門側の入口の周りに糞をするので、
そのあたりを掘り返すと本体が見つかります。

繁殖期は4~9月で、球形の寒天質の卵塊を砂の上に産む。卵塊の中で多くの卵が孵化、成長し、小さな仔虫(こむし)になってから水中に泳いで出るそうだ。

日本では別属ですが
イソタマシキゴカイ(Abarenicola pacifica)があり、タマシキゴカイに外見的によく似ています。
イソタマシキゴカイは、剛毛列は19、鰓の対は第7から第19剛毛節までの13対となっています。
腹疣足の腹剛毛列は、タマシキゴカイのように長くなく、
腹面中央を挟んで広く離れています。

主に釣り餌として用いられていますが
タマシキゴカイの赤い血液に、凄い効果があると注目されているようです。