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びんなが・ビンナガ・鬢長・Thunnus alalunga

[すし・sushi料理海の生き物]

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動物界 Animalia
脊索動物門 Chordata
脊椎動物亜門 Vertebrata
条鰭綱 Actinopterygii
スズキ目 Perciformes
サバ亜目 Scombroidei
サバ科 Scombridae
サバ亜科 Scombrinae
マグロ族 Thunnini
マグロ属 Thunnus South, 1845
ビンナガ T. alalunga

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全世界の熱帯・温帯海域に分布する小型のマグロで、
缶詰などに用いられることが多い重要な食用魚です。

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「マグロ」をつけてビンナガマグロ、
「長」を音読みしてビンチョウ、ビンチョウマグロとも呼ばれています。

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成魚は全長140 cmほど、体重60kgほどに達しますが、マグロとしては小型種です。多く漁獲されているのは50〜100cmほどで、カツオと同じくらいの大きさのものです。

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胸鰭(むなびれ)が第二背鰭(せびれ)を超えるほど長い点で近縁種と区別できます。
個体によっては背中側の第二小離鰭にまで達します。

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標準和名は正面から見た際に目立つ長い胸鰭を鬢(びん=もみあげ)に見立てています。尾鰭が白く縁取られる点でも他種と区別できます。

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日本では北海道南部以南で見られますが、日本海では稀です。

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和歌山県 串本
ケンケン漁の生ビンナガ

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海洋の表層・中層に生息しています。

好む水温は16〜20℃で、キハダ・メバチより低温、クロマグロ・ミナミマグロより高温を好みます。
短時間ならば水温9.5℃まで耐えられます。

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赤道から緯度10度以内では水面近くを避け、中層に生息しています。
大型個体は、水温14〜25℃ほどの中層を好みます。

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延縄、曳縄(トローリング)、一本釣りなどで漁獲されます。

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身は他のマグロと同様に赤身ではありますが、色は白に近いピンク色で非常に柔らかいです。
お刺身、フライ、唐揚げ、ソテーなどで食べられる他、鰹節と同様の「鮪節」(生利節)にも加工されています。

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世界的にはキハダと共に缶詰の材料として重要で、
その鶏肉にも似た食感から『Chicken of the Sea』や『シーチキン』などと名付けられて、
欧米でも多量に消費されているほか、ペットフードの原料としての需要も大きいです。

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マグロの仲間としてはあっさりとした旨味です。
寒冷地で漁獲された個体は脂が乗って、『ビントロ』と称して回転寿司などに用いられています。

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ビンナガの背肉赤身握り寿司

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ビンナガの中トロ握り寿司

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ビンナガの大トロ握り寿司

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ビンナガの照り焼き
器:鈴木隆さん

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『かつおぶし衣』で作る美味しい揚げ物
フライを作る際に、パン粉を衣にすることが多いわけですが、
その衣の代わりに『かつおぶし』を使うと美味しくパリッと仕上がります。
これは、中華料理人の五十嵐美幸ちゃんが鶏の唐揚げにかつおぶしを混ぜて作るという
レシピからいただいたアイデアです。
料理人として、本当に天才だと思います。
なかなか思い浮かびませんよこの発想。

今回は、ビンナガ(ビンチョウマグロと呼ばれています。)。
マグロ類の中では淡白な味わいのビンナガを
ワンランク上の旨味のあるカツに仕上げてくれるのがかつおぶしの凄いところ。
パン粉だけでは補えない旨味を加えてくれるだけでなく、
パリパリ、サクサクにも仕上がるのが素晴らしいです。
揚げた油にもかつおぶしの旨味と香りが移って、
『かつおだし油』になるので、それで作る天ぷらやフライ類は
いつもと違った、旨味強めの揚げ物になります。
パン粉無しでかつおぶしだけで衣にしてもよいですし、
パン粉とかつおぶし半々にしてみたり
お好みの量を探ってみてください。
かつおぶしは、粉状でも、荒削りでも美味しく出来ますが
揚がりの仕上がりが変わってきますので
そちらもお楽しみいただけたらと思います。