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夢をもて

[岡田イズム]

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某喫茶店でのことである。
ブレンドコーヒーLサイズを相棒にノートPCでカチャカチャと趣味のブログを書いていると
隣りの席にどうやら70代後半だという女性二人がゆっくりと腰を下ろした。
二人がコーヒーを飲みながらどのような会話を繰り広げるのか。
自分とは年齢も性別も異なる人間にとても興味があるのだ。
耳を傾けようとするも束の間、物凄い声量で会話がスタート。
それは、一瞬店内のほとんどのお客さんがチラ見するほどの大きさである。
二人の名前は、「みっちゃん」と「さっちゃん」。
そう呼び合っているからすぐに理解。

みっちゃん:「さっちゃん、あなた何か1つでも夢ってあるの?」
さっちゃん:「夢はないねー。」

みっちゃん:「もし長生きしたいなら、一つだけでもいいから夢をもつと良いんだって。テレビで言ってたわよ。」
さっちゃん:「そうなの? でも、夢ってのはないねー。みっちゃんは何かあるの?」

みっちゃん:「あたしもねー、ちょっと考えてみたんだけどないねー。カラオケとチャーハンとパチンコくらいかなー。」
さっちゃん:「あなた、そういうのは夢って言わないわよ。しかも3つもあるじゃないの。チャーハンってなんなのよ?」

みっちゃん:「あたしはね、チャーハンが一番好きなのよ。今朝もチャーハン作っちゃったんだから!」
さっちゃん:「へー、チャーハンそんなに好きだったのね。知らなかったー。」

みっちゃん:「そういえば、あの、誰だっけ、グループのあの、かわいらしい子。子ども5人育てて、毎日楽しいんだってテレビで言ってたよ。」
さっちゃん:「5人もすごいねー。わたしは3人産んだけど、みっちゃんだって4人も産んでるじゃない。」

みっちゃん:「まー、それはいいんだけど、5人の子育てが大変じゃなくて、楽しいって言ってて、頼もしいなーって思ったのよ。あのアイドルの、『おニャンコ』じゃなくて、なんだっけあの、」
さっちゃん:「あ!わかった! おニャンコ娘ね!」

みっちゃん:「あ、そうだそうだ! おニャンコ娘!あの子えらいわねー。」 
さっちゃん:「アイドルだから歌もうまいんだろねー。そういや、みっちゃんも歌うまいじゃない。」

みっちゃん:「昨日も8人でカラオケ行って、夜遅くまで馬鹿騒ぎしてたわよ。」
さっちゃん:「元気ねー。そういえば聞いたわよ。みっちゃん彼氏出来たんだって。カズさんがみんなに言いふらしてたわよ。」

みっちゃん:「あら、信じられないわね。人のプライベートのことをねー。」
さっちゃん:「彼氏とはカラオケも一緒に行ったりするんでしょ?」

みっちゃん:「よく行くんだけど、いっつも怒られるのよ。」
さっちゃん:「なんでよ?」

みっちゃん:「何度も同じ曲を歌うなって。」
さっちゃん:「え?みっちゃん何度も同じ曲を歌うの? それはさすがに嫌がられるんじゃない。」

みっちゃん:「そりゃ、70も後半になれば、カラオケで歌った歌を、歌うそばから忘れて、また同じ歌入れちゃうのよ。」
さっちゃん:「・・・。」

みっちゃん:「さっちゃんだってそういうことあるでしょ?」
さっちゃん:「あたしは同じのなんて歌ったことないわよ。トイレ行ったあとに部屋がわからなくなっちゃうことはよくあるけど」

みっちゃん:「やっぱりここのコーヒー、美味しいわよねー。むこうのお店よりぜんぜんいい。ちょっと量が少ないけどね。」
さっちゃん:「ドトールが一番よね。私たち気が合うね。」

みっちゃん:「だけど食べ物がパンしかないのが残念ね。むこうのお店みたいにパスタとか色々出せばいいんだけどね。」
さっちゃん:「ねー。今日お昼どうしようね。」

みっちゃん:「揚げパンの美味しいお店みつけたのよ。どう?」
さっちゃん:「でもあたし、みっちゃんの話聞いてたら、チャーハン食べたくなってきちゃった。」

みっちゃん:「チャーハンいこ!チャーハンいこ!」
さっちゃん:「w w w。」

とってもうるさくてカワイイこの二人が店を出ると、やっと心地良いドトールカフェミュージックの世界が戻ってきた。
起承転結なんていらない自由なかんばーせっしょん。
80歳を目前にしたとき、自分はどんな考えで、どんな生き方をしているのだろう。その時の夢はなんだんだろう。
そんなことを思わされました。
みっちゃん、さっちゃん、一見たわいもない、とっちらかった会話からたくさんの学びをありがとう。
僕もお腹が空いてきた。
チャーハンいこ!