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「酢みかん」という食文化について

[青果高知県]

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日本農業新聞(2025年12月)
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【「酢みかん」という食文化について】
「みかん」と一口に言っても、いくつかの品種が挙げられるが、
一般的に流通しているもので、日本で「みかん」と呼ばれているもののほとんどは「温州みかん」だ。
「みかん」とは一体なんなのか?
皮が柔らかく、手で簡単に剥ける小型の柑橘類の総称としてなんとなく定義されているが、皮が剥きにくいみかんほど美味しかったりする。
ご存知の通りみかんは、吸収する水分が少なければ少ないほど甘くなるため、味が濃いみかんほど皮も水分が少なくなり、剥きにくくなる。
このように、甘酸っぱくて美味しい食べるみかんとして扱われず、
酸味が強く主に果汁として利用されたり、皮を活用されることが多い香酸柑橘類を総称して「酢みかん」と呼んでいる地域が高知県だ。
その種類は30種類にも及ぶ。その名の通り、酢の代わりの酸味として使われるシーンが多く、すし酢の代わりにゆず果汁を使うことは定番で、
驚くべきは、食材や料理によって、絞る酢みかんの種類を変えることだ。
例えばサバにはダイダイ、ちりめんじゃこにはユズ、上りガツオにハナユ、
メジカの新子にブシュカン、戻りガツオに直七。といった具合だ。
その時獲れる魚と、その時木に成っている酢みかんを合わせているだけのシンプルな組み合わせは、
理屈の前に自然のマリアージュをわかりやすく示してくれる。
自然の摂理が人々を魅了するのは、過去も未来も一緒なのだと思う。
「酢が使える人は料理上手だ。」と言われる通り、
程よい酸味を加えることで味が整うことが多々ある。
それは、酢飯や、酢豚のように直接酸味を楽しむ料理ではなく、
ステーキのソースに少し加えて煮詰めたり、鶏の照り焼きにちょこっと垂らしてみたりという使い方。
酢みかんの酸味や皮の香りは、食欲増進や、料理に清涼感を加えてくれるだけでなく、味に深み、まろやかさを与えてくれる。

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「酢みかん」という食文化について料理だけでなく飲み物にも絞っても美味しい直七(なおしち)