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しそ・シソ・紫蘇・Perilla frutescens var. crispa

[ハーブ]

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植物界
被子植物
真正双子葉類
キク類
シソ目
シソ科
シソ属
シソ

シソはヒマラヤやミャンマー、中国南部などが原産で、広く栽培されています。
日本には中国から伝わり、縄文時代の遺跡からもシソの種実が出土しています。
本格的な栽培が始められたのは平安時代です。
シソには品種がとても多く、それらの総称を『シソ』と呼んでいます。
代表的な品種は『アカジソ』です。

紫蘇の種類は以下です。
【あおじそ・アオジソ・青紫蘇】 葉の両面とも緑色で縮れない。
【あかじそ・アカジソ・赤紫蘇】 全体に赤紫色をしており葉の両面とも赤色で縮れない。
【かためんじそ・カタメンジソ・片面紫蘇】 栽培品種で葉の表面は緑色、裏面は赤色。
【ちりめんあおじそ・チリメンアオジソ・縮緬青紫蘇】 栽培品種で葉の両面とも緑色で縮れる。
※栽培は、日当たりの良いところで栽培された優良品種から採取した種子を春に蒔いて行います。
ただし、自然に落下した種子からでも容易に発芽します。
日本の大葉(青ジソ)の主要な生産地は、愛知県、茨城県、高知県などです。
【ちりめんじそ・チリメンジソ・縮緬紫蘇】 葉は両面とも赤色でやや縮れる。
【まだらじそ・マダラジソ・斑紫蘇】 葉の表面は緑色、裏面は赤色で縮れない。

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食用にする葉の色により赤ジソと青ジソがあり、青ジソの別名が『大葉(おおば)』です。
シソは本来赤ジソのことで、青ジソはその変種です。
芳香のないエゴマは近縁種で、互いに交雑しやすいです。
以前長野県でいただいてきた、大きな大きな野沢菜漬け用の樽に野生の青ジソを植えたところ
ワシャワシャと育っています。
この青ジソは西日が好きなようで、西日のよく当たる場所に置いてからかなり元気になってきました。
葉の色によって赤ジソ・青ジソに大別され、葉のしわが多いものはチリメンジソと呼ばれています。

漢字の「紫蘇」は、もともと赤ジソに由来しています。
漢名である中国植物名では『紫蘇』で、
和名の『シソ』は、漢名の読みに由来しています。
『紫蘇』は、若者が蟹による食中毒を起こし死にかけた時に、
シソの薬草を煎じて飲ませたところ回復したことから、紫の蘇る草の意味でついたという伝説があります。
その他にも似た伝説に、
蟹を食べて食中毒になり死にかけた子供に、紫のシソの葉を食べさせたところ蘇ったため、
この草を「紫蘇」と呼ぶようになったとも伝えられているものもあります。

古名は『イヌエ』。
『イヌ』は、似て非なるものの意味で、『エ』は、エゴマのこと。
エゴマに似るがエゴマとは異なる植物という意味で呼ばれたものと考えられています。

英語では、ペリラ(Perilla)
フランス語では、ペリア・ド・ノンキャン(Perilla de Nankin:南京シソの意味です。)


シソは、芳香性の一年生草本で、茎は四角形で直立し高さ1m程になります。
葉は対生に付き、長い柄があり、広卵形で先端は尖り、縁(フチ)には鋸歯があって緑色または赤みを帯びています。
品種によっては葉が縮れる場合もありちりめんジソと呼ばれます。
花期は晩夏のころで、花穂が次々と開花します。
花序は総状花序で、白から紫色の花が多数できます。

ペリルアルデヒドに由来する特有の清涼感のある香りで和風ハーブの代表格とされています。
その香りを有することから、虫がつきにくいですが、
ハスモンヨトウやベニフキノメイガ、ヨモギエダシャク、ミツモンキンウワバなどの幼虫
ハダニやバッタなどは、シソの葉を好んで食べます。

葉だけでなく、若芽、花穂、実も食用にされ、主に刺身や手巻き寿司などの料理の香味付けや彩りなどの添え物、魚の臭み消しなどに使われます。
野菜としての旬としては、
青ジソは夏から秋(7〜10月)、
赤ジソは初夏(6〜7月)あたりです。
青ジソは、緑色が濃くて軸の先が新鮮で変色していないものが良品とされています。
保存方法は、湿らせたペーパータオルなどで包んでビニール袋に入れて乾燥を防ぎ
冷蔵庫に入れておくと長く保管できます。

【赤ジソ(赤紫蘇)の特徴】
アントシアン系の赤橙色のシアニジンと言う色素成分を含み、
日本では梅干しを作る際に、梅の成分であるクエン酸によってシアニジンが強く赤く発色することで、
梅干しの発色や漬物の色づけに使います。
葉を乾燥させたものは七味唐辛子に配合されたり、ふりかけなどにも用いられます。
熟さない実を付けた「穂じそ」、花が開き掛けの「花穂じそ」は刺身のつまに用いられることが多いです。
湯で、煮て砂糖を加えシソジュースにすると綺麗で美味しいです。
味や色は赤紫蘇で、香りを青紫蘇から抽出するように
赤と青をブレンドして黄金比率で作る紫蘇ジュースがマイウーです。
赤ジソは酸に触れると鮮やかな紅色に発色する性質がありますが、
灰汁(アク)が強いため、最初に塩揉みをして出てくる黒いアク汁だけを捨てます。
梅干しづくりで梅の実と一緒に漬けるときは、
アク汁を出したあとの赤ジソに、梅酢を少量かけると美しい赤色が得られます。

【青ジソ(青紫蘇)の特徴】
葉や花を香味野菜として刺身のつまや天ぷらなどにします。
青ジソの若葉を摘んだものは「大葉(おおば)」と呼び、薬味として用いられることが多いです。
西日本の一部では「青蘇(せいそ)」とも呼ばれています。
香りがよく、ほのかに苦味があります。

【穂ジソの特徴】
花穂のつぼみ、または花が落ちて実が未熟なうちに摘んだものを「穂ジソ」と呼びます。
刺身のつまなどに使われ、種子が熟しかけたシソの実は摘み取ってから塩漬け、醤油漬け、佃煮に使われます。
穂ジソのつぼみが開いたものは「花穂ジソ」で、主につまや飾りに使われます。
箸または手指で茎からズルズルズルとこそげ落として使用します。
萼(ガク)ごと食用とし、乾燥させてお茶漬けなどの風味付けに用いたり、食塩や醤油で漬物にしたり、穂ごと天ぷらにしたりします。
プチプチした食感と独特の風味があります。

【芽ジソの特徴】
発芽して間もない双葉の状態の若芽(スプラウト)のことで、
赤ジソの芽は「紫芽(むらめ)」、青ジソの芽は青芽(あおめ)」と言います。

【紫蘇の栄養価】
シソはβ-カロテン、ビタミンB群、ビタミンC、食物繊維、カルシウム、鉄、カリウムなどのミネラルを多く含んでいます。
特に、β-カロテン、カルシウム、ビタミンB1の含有量は、野菜類の中でも群を抜いて優れています。
栄養量が豊富な野菜なのでなるべく食べる機会を増やしたい野菜の一つです。
シソ特有の香りの元である精油成分のペリルアルデヒドは、臭覚神経を刺激して胃液の分泌を促し、
食欲を増進させる他、健胃作用や強い殺菌作用により食中毒の予防にも効果があります。
ポリフェノールの一種である香り成分には、強い抗酸化作用もあります。

【シソ油】
シソの種子からは、シソ油が取れます。
シソ油には抗酸化作用のあるα-リノレン酸を多く含みます。
リノレン酸は酸化しやすいので開封後は早めに消費したほうが良いです。
シソ科シソ属のエゴマの種から得られた精油も、「シソ油」として売られていることがありますが
それは「エゴマ油」です。

【シソが持つ、防腐・細菌の増殖抑制・殺虫効果について】
シソの香り成分にもなっている精油は、ペリルアルデヒドを約55%含み、
この成分が防腐作用と殺菌作用を持っています。
防腐効果は、5〜10%の食塩との併用によって得られます。
そのまま使用した場合には、防腐効果や食中毒原因細菌の増殖抑制効果はありません。
この性質を利用して梅干しが作られているわけです。
何十年経っても腐らない梅干しがうちにもありますが、
保存便には平成2年と書いてありますので、何年前だ^^;すごい保存力です。
お刺身などの生もの料理にシソが添えられているのは、
昔から続いている食べ合わせの経験の知恵に基づいたもので
寄生虫のアニサキスを弱らせたり、殺虫作用があることを体で感じて、
昔から刺身を食べる際は青ジソの葉や穂ジソなどを、まさに『薬味』として用いていたわけです。
アニサキスが胃壁などに絡みつくために起こる胃痛を防ぐという効果は少なからずありそうですが
昔のアニサキスと現代のアニサキスのパワーは異なってきているかもしれません。
殺虫できるほど青ジソが有効かは、自分の体感的には難しい気がします。
またアニサキスの元気度は個体差がありますのでそれにもよりますが
おそらく、数日経って、アニサキスが胃の中で死滅して体調が回復したのを
シソの成果だと考えたのかもしれません。

【シソの薬効】
漢方医学では、主に夏に採取して干して乾燥させた赤紫蘇の葉を蘇葉(そよう)または紫蘇葉(しそよう)と言い、理気薬(気が停滞している状態を改善する薬物、精神を安定させる目的もある)として
神秘湯、半夏厚朴湯、香蘇散などに配合されています。
日本薬局方では、チリメンジソの葉及び枝先を「蘇葉」としています。
平安時代の『本草和名』には民間薬や漬物に利用された記録があります。
秋に採取した赤紫蘇の花穂から採取した熟した種子だけを集めたものを、紫蘇子(しそし)または蘇子(そし)と言い、茎は蘇梗(そこう)と言います。
葉・種子・茎ともに、解熱、鎮痛、鎮静、咳、喘息、便秘、嘔吐、食欲不振などの治療に用いられます。
紫蘇葉または紫蘇子5〜15グラム程度を500ccの水で半量まで煎じた液を、
食間1日3回に分けて服用したり、神経痛や腰痛、冷え性には浴湯料として茎葉が用いられます。
赤ジソの葉はロスマリン酸、葉と実にはルテオリンを含み、アレルギー疾患の緩和に有用とされています。
サバなどの魚によるじんましんや風邪のひきはじめには、
蘇葉の粉末さじ1杯または刻んだシソを、湯のみに熱湯を注いだ「しそ湯」を飲用すると良いと言われています。
胃腸を温める作用があり、しゃっくり止めに、梅干しに入っているシソ葉に湯を注いで飲んでもよいといわれています。