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将太の寿司から学ぶ お団子手毬寿司

[すし・sushi]

高校生の頃
まさか自分が寿司屋になるなんて夢にも思っておらず
大学受験の勉強をしながら欠かさず読んでいたのが【少年マガジン】。
僕たち世代の寿司職人にとってのバイブル漫画『将太の寿司』(講談社)。修行しながらも全国の素材を旅してまわる将太の姿に皆、憧れたものです。

酢飯屋を開業して10年目くらいの時だったでしょうか、
お客様から作者の寺沢先生をご紹介いただき
初めてお会いさせていただくことができました。
その時の様子はこちらからどうぞ。
http://www.sumeshiya.com/blog/2015/06/post-303.html

その後、『〜ミスター味っ子 & 将太の寿司〜 寺沢大介画業30+1周年記念原画展』にて
将太の寿司に登場するお寿司を再現する
『将太の寿司 再現寿司』を担当させていただくことになりました。

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それから度々あちらこちらで再現寿司を作らせていただいていることもあり、
寺沢先生公認で、再現寿司を記録にさせていただけることになりました。
今回は、こちらをご紹介させていただきます。


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将太の寿司 24巻
作者:寺沢大介先生
【将太の寿司の再現寿司『お団子手毬寿司』】

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飛男(とびお)
『遠くまーで旅すーる恋人にーィ あーふれる幸せを祈るよー』

シンゴ
『浮かれてないで さっさと掃除終わらせろよ!!そろそろ開店だぞ!!』

飛男
『へいへいーい 何だかねえ あの人もいい人だけど細かいところにうるさいね』

敦子
『キャーッ どいて どいてーっ』

飛男
『え?』

敦子
『危なーーい』

飛男
『うわあっ』

ガシャーーーン

飛男
『痛ッ!! いててて・・・・!!』

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敦子
『ご・・・・ごめんなさーい・・・・!!』

将太
『と・・・・飛男・・・・!!』

飛男
『あ・・・・ 敦子姉ちゃん!?』

敦子
『あーーーっ!! 飛男君!!』

飛男
『・・・・はい!! これでとりあえず応急処置は・・・・』

敦子
『あ・・・・どうもありがとう』

飛男
『まったく・・・・あいかわらずトロくさい女だよな
いい年して身体中傷だらけみっともねえったらありゃしねえよ』

敦子
『あんたこそ その悪たれ口変わんないわね 子供の頃によくかばってあげた恩を忘れたの?』

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将太
『飛男とはそんなに昔ッから・・・・』

シンゴ
『ずっとご近所だったんですか?』

敦子
『ええ・・・・ もうこーんな小っさい頃から 弱っちいくせに負けん気だけは強くてね・・・・』

ケンカしては負けて泣いて帰ってきて・・・・
ご両親が共働きだったから私が世話をしてあげたんですよ。

『途中からはグレちゃってどうしようもなくて・・・・ それがこんな立派なお店で働くようになるなんてね・・・・』

飛男
『オレはいつだってちゃんとしてるさ!!人のことより自分の心配をしてろよな!!
その年ンなって恋人一人もいないんだもんな 見合いだって何回こわれたかわかんねえくらいじゃん』

敦子
『失礼ね!! こ・・今度のお見合いはうまくいきそうなんだから!!』

飛男
『へーーえ・・・・まーだ世話ァ焼いてくれる物好きがいるのかよ いったい相手はどんなやつなんだ?』

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敦子
『一流出版社にお勤めのエリートなの しかもすごいハンサムで私にはもったいないくらいの人よ!!』

飛男
『へーえ そりゃ 姉ちゃんにすりゃ上出来だ 今度こそしくじんないようにがんばりな!』

敦子
『うん・・・・そうね そうなんだけどね・・・・』

飛男
『何だよ』

敦子
『相手のお家が結構立派なお家でね・・・・きちんと料亭かなんかでお見合いするって言うんだわ・・・・
あたしって本当にそそっかしいからさあ・・・・特にあらたまった食事の席ってのがすっごい苦手なのよ・・・・
特にお箸の使い方が下手くそで・・・・緊張するとなおさら手が震えちゃうのよ
さんざんな失敗して・・・・あっという間に破談よォ・・・・

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敦子
今度のお見合い失敗したら・・・・もうこの先結婚なんかできないのかもなあ・・・・
今度の人は・・・・本当の本当に良い人なんだけどなあ・・・・』

飛男
『な・・何だよ姉ちゃんらしくもねえ そんなに気にやむなよ』

敦子
『ん・・・・! そうね 心配したって始まんないわよね!!
じゃあ どうもお世話様でした 飛男君も一所懸命にがんばるのよ!!
今度のお見合い失敗したら飛男君にでもお嫁さんにもらってもらおうかしら』

飛男
『バーーカ!! 誰がそんなババアと結婚するよ!!』

敦子
『あはは・・・・そうね!!じゃあまた遊びに来るね!』

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富山雅子
『さっぱりした気持ちのいい人ね 友達になれそうなタイプだわ』

飛男
『ええ・・・・本当に・・・・すっごくいいやつなんスけどねえ・・・・
何でなんかなあ・・・・良い結婚相手見っけられないんスよね
オレ・・・・本当にあのお姉さんには世話になっているんスよ・・』

敦子さん
『泣くな男の子 ホラ!!君の応援団だ!!』

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敦子
今度のお見合い失敗したら・・
もうこの先結婚なんかできないのかもなぁ・・
もしダメンなったら・・飛男君にでもお嫁さんにもらってもらおうかしら

飛男
『オレ・・・・何とか・・・・姉ちゃんの力になってやれないかな・・・・』

将太
『飛男・・』

飛男
『そうだ!姉ちゃんのお見合い鳳寿司でやれないスかね?
姉ちゃんが箸で絶対失敗しないような・・・・
食べやすくてうまい寿司をオレが工夫してみたいんスよ!!』

将太
『そ・・そんないきなり・・・・第一 親方が許してくれるかどうか・・・・』

飛男
『オレッ親方に直訴します!!』

将太
『お・・おい飛男・・!!』

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鳳寿司の親方
『そうか・・・・ 話は解った
だが・・・・鳳寿司で出す以上は食べやすいだけでなく味でもお客様を満足させなくてはいかんのだぞ』

飛男
『はい!! わかってます!!』

将太
『まったく強引なんだからな! こらっ廊下は走るな飛男!!』

飛男
『何ぐずぐずしてんスか将太クン!!急いで工夫始めるんスよ!!』

将太
『な・・何 何ナニ? 僕も一緒にその寿司の工夫をするの?』

飛男
『当ったり前じゃないスか!!オレ一人でそんなもん作れるわけないっしょ!!』

将太
『いや・・・・そんなこと大威張りで言われても・・』

飛男
『ダッシュ!! ダッシュスよ 将太クン!!』

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将太
『まったくもう・・・・ あいつには かなわないな・・・・』

小政
『箸を使えない女の子にお寿司を・・?その方が逆に大変だぞ・・・・!!
お箸で寿司を食べるのは普通の人にも難しいんだ いったいそれをどうやって・・・・』

将太
『それはこれから頭をしぼって こいつと考えるんですよ!!』

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お見合い相手のお母さま
『そんなに緊張なさらないで ありのままの敦子さんを見たいんですから』

敦子の母
『そうよ敦子 リラックスなさいな』

敦子さんのお見合い相手
『そんなこと言ったってお互い緊張しますよね
でも僕も敦子さんのいろんなこと知りたいからいろんなお話しましょうよ』

敦子
『は・・はい』

本当に良い人だよォ・・・・!!
ダメだあ私・・・・!!
良い人ほど緊張しちゃってあせっちゃって・・・・!!
ダメだあ・・・・!!
食事なんてできないよ・・・・!!

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敦子
飛男君・・・・
私やっぱりダメだよ・・・・!!

飛男
『よし!! できた!! 親方・・・・!!』

鳳寿司の親方
『いいだろう 持っていけ!!!』

飛男
『はい!!!』

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小政
『食べやすくてしかもおいしいお寿司か・・・・やつらいったいどんなものを作ったんだ・・・・』

飛男
『失礼します!お食事お持ちしました!!』

お見合い相手の母
『あら・・・・やっとお寿司がきたのね!! 敦子さんご推薦のお店だからおいしいものを期待しますね!!』

敦子
『飛男君・・!!』

ダメよ・・・・
私やっぱり箸でお寿司なんて無理よ・・・・!!

飛男
だいじょうぶ任せとけよ姉ちゃん!!
とっておきのすごいアイデアがあるんだから!!

お見合い相手
『さてこれは・・・・』

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お見合い相手の母
『え・・・・ええ!!』

敦子
『これは・・・・』

小政
『な・・・・何だありゃ!?』

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お見合い相手の母
『これはお団子!!? お団子が食事なの!!?』

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お見合い相手
『違うよ!!母さん!!手毬寿司だ!!!手毬寿司を串に刺しているんだ!!!』

お見合い相手の母
『まあ・・・これは何て綺麗!!!小さな小さな色とりどりの可愛いお寿司!!!
その小さな手毬寿司を串に刺して・・・・お団子のように見立ててある趣向なのね!!!』

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お見合い相手
『しかも・・・・これはうまい!!! アイデアもさることながら味もまた抜群だ!!
ひとつひとつこんな小さな手毬寿司(てまりずし)に驚くような工夫がしてある
これはタラコだ!!
見た目も美しくしょっぱい味が食欲をそそる!!

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平目はむっちりした昆布締めで あしらいに木の芽を添えてある
アカガイもさっぱりと酢を通して・・!!
味の工夫に色どりも美しく
まったく今まで食べたことのない最高のうまさだ!!

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飛男
へへっ・・・・
これならどんなに不器用な敦子姉ちゃんでも
きっと粗相せずに食べられるだろ!!

敦子
『飛男君・・・・!!』

あの腕白小僧の飛男君が・・・・
こんなに立派な仕事のできる職人さんになるなんて・・・・

おいしいよ飛男君・・・・!!
このお寿司なら私でもちゃんと食べられるよ・・・・!!

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お見合い相手の母
『ありがとう敦子(あつこ)さん こんなおいしいお寿司をごちそうになるなんて思ってもみなかったわ!!』

お見合い相手
『僕らの未来もこのお寿司のように・・・幸せな色どりで彩られていると良いですね』

敦子
『は・・・・はい!!』

シンゴ
『良かったな飛男!! これでお姉さんも幸せになれるよ!!』

飛男
『へっ・・・・まったく世話がかかるから・・・・めんどくさくてたまんないスよ』

シンゴ
『あれぇ・・・・?もしかしてぇ おまえ あのお姉さんのこと好きなんじゃ・・・・!?』

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飛男(とびお)
『バ・・バカ言わないで下さいよ!! 誰があんなドブスババアを・・・・!!』

『へへ・・・・幸せになれよ 敦子姉ちゃん・・・・』

姉ちゃんの幸せを乗っけて・・・・
折り鶴高く 飛んでいけ!!


僕は、この章を読んで
大切な人への感謝の気持ちや御恩に対しては、お寿司でお返ししていこう!
と心に決めました。
しかし、
敦子さんみたいなお姉ちゃん、オレも欲しかったなー。

将太の寿司 / 寺沢 大介
Kindle版(電子書籍)でもご覧いただけます。
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