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熊本のスイカ農家 井上さんにお会いしてきました。

[青果食遊び]

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2020年5月31日
生産量・品質ともに日本一を誇るスイカの名産地、
熊本県熊本市植木町へ行ってきました。
温室栽培で完熟収穫されるこの地域は、
4月〜6月がスイカの最盛期を迎えます。
スイカのプロがゴロゴロといるこの地域の中でも
僕がお会いしたかったのは、井上さんご夫妻。
そうです。
作り方、こだわり、志、味。
僕が大好きなキーワードを兼ね備えた井上さんご夫妻。
無事、お会いすることができました!

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東京芸大で同級生だった絵描きの二人は、
結婚後、広基さんの地元、熊本県植木町に移り、
スイカ農家さんに。

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子供たちも驚きの、
ハウスの中は、室温40度〜50度!

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しかし、大好物のスイカが畑にゴロゴロしているところを見ることが出来て
夢叶い、喜んでおりました。

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11月から苗床の準備を始め、
12月半ばに播種、2月半ばに定植されたものが
およそ3ヶ月ほどで完成し、
5月から6月くらいにかけて出荷されます。
3月頭から出回る植木の西瓜は
ハウスを暖房で加温しても収穫まで更に日数がかかります。
逆に夏の西瓜は凄いスピードで成長するので日数は短くなります。

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スイカは通常、苗を購入し、それぞれのこだわりで育てられることが多いですが、
井上さんは、苗作りからされています。
むしろ、それが大事と熱く語っていました。

その後のスイカの育て方も自根(じこん)です。
通常はカボチャやカンピョウなどの台木などで接木(つぎき)して
糖度や肉質の向上をさせたり、
線虫やウイルス、急性根腐れ、萎凋症などの防止のために
慣行接木されることが多いスイカですが、
【絶対自根派】の井上さん。
それだけでも志を感じますよね。

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美味しそうなスイカがゴロゴロしているハウスの中には、
動物たちもやってきます。
スイカの縞々模様は、そもそも、動物たちに見つけてもらい、
食べて種を運んでもらうために
派手に進化したと言われていますが、
実際は、どうしてスイカはシマシマ模様なのか?
については諸説あるようです。
うちの子供達曰く、
シマウマみたいに体温調節とかの意味があるのではと。

カラスはイタズラで、あれもこれもとチョコチョコツンツンとスイカをツツイテ傷つけていくので、
いくつものスイカが出荷には難しい状態にされてしまったり、
タヌキは、一つのスイカを丸々と綺麗に食べたりするなど、
奥様の里沙さんは教えてくれました。

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品種は大玉スイカの『祭りばやし8』
種は、奈良県にある、スイカとメロンの専門種苗会社
萩原農場』のものだそうです。

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現代は、農業の世界で無肥料無農薬栽培は、いばらの道と言われていますが
春スイカで、いつか必ずそれを達成してみせます!
という井上さん。
今後の井上さんのスイカも毎年毎年が本当に楽しみです。

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暑かったスイカ畑から、移動して、
涼しい納屋(なや)に案内してくださいました。

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ブルームを取らずにそのまま白化粧のほうが好きという井上さん。
僕もそう思います。
ブルーム(bloom・果粉)とは
果物や野菜の果実における、果皮表面の白い粉のように見える蝋状の物質のことです。
熟した新鮮な果実によく見られるもので、
果実から自然に分泌されている天然物質であり、人体には無害です。
果物が自身で出しているものは、そのほうが自身にとって良いという、果物からのサインですよね。

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果実の水分蒸発を防ぎ、病気などから果実を保護するブルームは
出荷時にも、店頭でもなるべくついているほうが良いですし、
果粉のつき具合によって鮮度の判断をすることもできますし。
ただ、スイカの表皮がマットなテイストになるため、
見た目が。。。と言われてしまいますが、それがいいんですよね!
ブルーム自体は軽い接触でも落ちてしまうので、
綺麗に拭いて磨き、ツヤツヤな状態で店頭にあるほうが目を引くという。
好みではありますが、
見た目よりは中身、質派の自分にとっては、
ブルーム付きスイカに賛成です。

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おいしいスイカの見分け方は、
叩いて低い音のするものだよ。
と子供達にも優しく丁寧にし接してくださる井上さん。

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お尻の窪みがしっかりとあると美味しいよとか。
子供達は、スイカについての質問事項を
あらかじめノートに書いて準備していたので
気になることなどいろいろとおうかがいすることができました。
もはや、夏休みの自由研究とかはしなくてもいいので、
社会科見学をすることが、子供も大人も最高の学びの場なのではないかと思います。

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スイカの表面のホコリとブルームをそっと拭いて、
スイカを切ってくださるということに。

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うれしーーーーーーーーい!!

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結婚のお祝いでいただいたという、
スイカ切り専用の立派な木板にスイカを固定させて
スイカ切り専用の刃渡りの長い両刃包丁をセット。

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フォローに入る奥様 里沙さん。

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破裂しそうなほどに水分がパンパンのスイカは、
包丁の入れ方やスピードによっては、
『メキメキメキ』っと音を立てて、ヒビが走ってしまいます。

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が、そこはさすがのスイカマスター。
綺麗に切断しました。
しかし、
井上さん曰く、これは技術ではなくスイカの状態に左右されるそうです。
どういうことか、とても良いことを教えていただきました。
『たまに収穫適期を迎えても、
叩いた音がカンカンと高く、いつまでも下がりにくい玉が現れます。
どうゆう訳か、中は熟れていてもサインを出さない玉で、
そんな玉は皮の張りが強く、少し包丁を入れた途端、
下までバツっとヒビ割れてしまいます。
その様な現象を「はしる」と地元では呼び(割れが走る様に入る事から)、
良い玉の条件にはされません。
また、灌水や雨で水分を過剰に含んでる玉、
これからの梅雨の影響でも走る玉は増えてきます。
走る西瓜は鮮度の証と思ってる方もいらっしゃるようですが、
良い西瓜はすーっと吸い込まれる様に包丁の刃先で切れていきます。』
と井上さん。

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緑の中から、パカっと、この赤が登場する瞬間。
思わず声が出てしまいますよね!

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切ったらすかさずに、スイカに鼻を近づけて香りを確認する井上さん。
味にばかり意識が行きがちなスイカ、もちろん、スイカの香りも大好きですが
切りたてのスイカからのみ発せられる、鮮烈なほどのアロマ香は、
スイカを切った人にしか体験できない最高に贅沢な瞬間です。

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中心部分が一番甘いスイカを
みんなが均等に楽しめるようにする切り方。

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暑い気温の中、
スイカを切っていくのを見ているだけで
ゴクリと喉がなり、穏やかな気持ちになります。

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そして、いよいよ!!!!
『いただきまーーーっす!』

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スイカ農家の奥様、里沙さん。
スイカが似合い過ぎる。
というか、スイカTシャツ着てる!
今気が付いた!^^;

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たくさんある中から叩いて選んでくださったこのスイカ。
もちろん個体差があるのと、僕たちがジッと見つめていることもあり
緊張するとおっしゃっていた井上さんでしたが、
納得の仕上がりのようです。

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乾いた喉を潤すだけでなく、
この香りと味は、味覚の記憶に刻まれるほどのものでした。
子供達も何個いただいたかわからないほど、エンドレスおかわり。
外で食べるスイカは、情緒もあいまって、さらにその味を深いものにしてくれます。

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そういえば、いただいたスイカ、冷蔵庫に入れていたわけではないのに、
ひんやりとしていました。
納屋の凄さ、日影の凄さを感じた瞬間でした。

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そういえば、
井上さんは、赤よりもピンク色に近いスイカが好きだとお話されていました。
ん?
赤い方が味が濃そうですが、どうしてですか?

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それは食べてみてすぐにわかりました。
スイカの食感を効果音で表すには、
色々な表現があるのでしょうが、
『シャリシャリ』・『シャッリ シャリ』という口の中と
骨伝導で伝わらんばかりの爽快な音と舌触り
味はもちろん抜群どころじゃない。
水分たっぷりのスイカの中に、よく見ると細かく細かく入った気泡。
その部分が光と反射して、赤いスイカに白が加わりピンク色に見えている。
その気泡は、手で潰せば、真っ赤なスイカになりました。
つまり、スイカ自体は真っ赤なのですが、
細かな気泡がスイカの中に適度に形成されることによって、
これまで食べていたスイカではそんなに感じなかったあの
『シャリシャリ』・『シャッリ シャリ』という食感を作り上げていたのでした。


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スイカって、子供の頃から夏には何となくいつも食べていたし、
スイカって、大抵美味しいので、そこまで気にかけていませんでしたが、
美味しいスイカって、別物じゃないか。
なんで、これまで、しっかりとスイカを選んで食べてこなかったのか
後悔しました。
なんか、スイカって、おばあちゃんちに行くと、
スッと出てきたり、
うちで食べる時も価格で決めて買ってきてしまったり、
スイカ割りをする時のスイカも、美味しいスイカというよりは、
大きくて安いスイカを選んでしまったり、
フルーツ盛り合わせなどのスイカも、普通のスイカの味だったり。
考え方が変わりました。
というか来年からは井上さんのスイカを追いかけながら、
色々なスイカを選んで食べ比べをしていこう。

井上さんの今年の平均階級(サイズ)は、
2L ・ 3L (7、8キロ)ぐらいだったようです。
大きさは形と共に品質の証でもあると井上さんは言います。
ですが、大きく育ち過ぎた西瓜は収穫が大変で、
冷蔵庫に入らないと、嫌われてしまうそうです。
鑑賞用のジャンボ西瓜は食べてもきっと美味しくないでしょう。と。

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井上さんが厳しく鍛えながら育てたスイカは、力強く、
それは、スイカが好きな方なら、誰しも『うまい!』と声が出てしまうほどのものでした。
来年またこのスイカが食べられるのかと思うと、それだけで幸福です。

井上さんは、こうもおっしゃっていました。
『私はまだまだ西瓜と話せない未熟者です。
そして、産地が違えば西瓜の良し悪しも同じではないかもしれませんね。
もし、面白い西瓜や素晴らしい西瓜に出逢われた時は私達にも教えてください。』と。
この向上心と挑戦の心、僕もそういうの大好きです!

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広基さん、里沙さん
記憶に残る刺激的な時間を本当にありがとうございました。
これからも井上さんのスイカが食べられること、
そして、井上さんの研究熱心で頑固な部分がスイカに反映されて
さらに凄いスイカが誕生してくるのを毎年毎年楽しみにしていますね!
シーズン真っ盛りでお忙しい中、ご親切にお時間ありがとうございました。

さらにマニアックな、
スイカのグラビア写真や、スイカの切り方などは
こちらからご覧いただけます。
すいか・スイカ・西瓜・watermelon

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2020年11月
井上さんが育てている落花生が届きました。
有機物のみを畑に入れて、土の力を活かして育てられているのと、
天日干しということもあってか、小粒でも味わいが濃厚でとても美味しい生落花生です。
煎った落花生も香ばしく、数を決めてから食べないと手が止まりません。