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あんどんくらげ・アンドンクラゲ・行灯水母・Carybdea brevipedalia

[海の生き物]

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動物界 Animalia
刺胞動物門 Cnidaria
箱虫綱 Cubozoa
アンドンクラゲ目 Carybdeida
アンドンクラゲ科 Carybdeidae
アンドンクラゲ属 Carybdea
アンドンクラゲ Carybdea.brevipedalia

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名前の通り、行灯(あんどん)を思わせるような
夏に比較的水面近くに見られます。
頭部に立方形の傘を持ち、直径はおよそ2〜3cm、
鞭状をした4本の触手がある、暖海性の透明の小さなクラゲです。
触手の長さは通常15cm前後ですが、
中には30cmを超える長さをもつ個体もあります。
4本の触手には、強い毒性があるので
水面移動時には特に注意が必要です。

クラゲの中では強い遊泳力を持っており、
黒潮に乗って日本近海に北上し、北海道付近にまで達します。
日本近海での発生期は6〜8月となり、その時期であるお盆の頃と、
行燈(あんどん)に因んで名前が付いています。
その遊泳力と強烈な刺胞毒で、小魚を捕食します。


アンドンクラゲは、『カツオノエボシ』と共に
『電気クラゲ』と呼ばれて嫌われている種です。
人が刺されると激痛を感じ、患部はミミズ腫れのようになります。
殆どの場合において大事には至りませんが、
その痛みの強さから、一度でも刺されると印象に残りやすいです。
うちの子供達も、目の前で体中をアンドンクラゲに刺されてしまった男の子を見て、
それまで、絶対に帰らない。と大はしゃぎしていたのが一瞬で海から出るというほど。
体が透明で海水に透けて非常に見えにくいため、
気づいた時には刺されているというケースも多く、
海水浴やダイビングでの要注意動物とされています。
アンドンクラゲが群れを成して押し寄せた場合、海水浴場が閉鎖される事もあります。
お盆以降の海水浴を避けた方が良いと言われる理由の一つとして、アンドンクラゲの存在が挙げられます。
九州地方では『イラ』と呼ぶことがあります。
これは人を刺して痛い思いをさせるアンドンクラゲを植物の棘(いばら・いら)になぞらえた呼び名です。
神奈川県の地域では『イセラ』と呼ばれることもあります。


〈アンドンクラゲに刺されたら〉
【症状】
チクリと痛みを感じ、患部周囲に赤い斑点や腫れが見られ、
触手が皮膚に絡まった場合は、さらに患部の痛みが激しくミミズ腫れになり、
時に患部周辺が大きく腫れます。
ヒリヒリした灼熱感のある強い痛みは数時間で消失し、
その後、水泡ができて激しい痒みを伴うことがあります。
水泡をつぶすと潰瘍(かいよう)になりやすいです。

【応急処置】
患部に海水をかけて、しっかりアンドンクラゲを洗い流す。
(海水以外をかけると皮膚に残っている触手を刺激して再び刺される可能性があるためです。)
触手がまだ残っている場合は、ピンセットのような何か挟めるものやタオルなどで取り除く。
(触手には絶対素手で触らないように!)
その後、患部を冷やしてステロイド軟膏、あるいは抗ヒスタミン軟膏を塗布したガーゼを患部に当て、
密閉保護し、できるだけ早く医療機関で治療を受けてください。