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さざえ・サザエ・栄螺・Turbo sazae

[すし・sushi料理海の生き物]

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サザエの素潜り漁を見学してきました。
(※地元の漁師さんの許可を得ております。)
さあ、この写真のどこにサザエがいるかわかりますか??
完全に岩と同じような色をしています。

リュウテン科リュウテン属サザエ
巻貝の中でも最も漁獲量が多い、日本を代表する巻貝です。
北海道南部から九州にかけてと、
朝鮮半島、黄海の水深30メートルまでの浅海の岩礁域に生息しています。

大きさは
日本海側では10センチ前後
太平洋側では20センチ前後まで成長します。

ざっくり言うと、
岩などにはり付く筋肉質の足が身で、
生で塩揉みすると非常に硬いため
刺身の場合は薄造りにすることが多いです。
が、僕は、塩揉みせず軽く洗って、まるごとかじる派です。

うずを巻いた部分が内蔵です。
その先にある中腸腺(ちゅうちょうせん)と呼ばれる消化腺が乳白色がオス、深緑色がメスです。
オスはクリーミーな苦味、
メスはパンチのある苦味があります。

サザエは一年中、出回っていますが
産卵期前の春から初夏までが旬です。

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この日の海は、薄にごりくらいの透明度。
水温は24度
水面から見て、見える範囲にサザエがゴロゴロといました。

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岩と同じ色とはいえ、サザエはあんな形をしてますから
比較的見つけやすいです。
が、アワビは本当に見つけるのが難しいです。
ペタッと岩と一体化してます。

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このステンレスの道具が
『あわびおこし(貝おこし)』と呼ばれる道具です。
片方はカギになっていて、もう片方はヘラのようになっています。

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狙いをさだめて約5メートルほど潜って、
息が続く限りサザエを獲ります。
途中でアワビを見つけられればラッキーです。
岩場などは手を怪我しがちなので、ダイビンググローブがあると楽です。

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『スカリ』と呼ばれる網を浮かせておき、
そこに獲った貝を入れたり、獲った魚を入れておきます。

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貝類は魚と違い、泳いで逃げたりしないので
スカリの入り口を絞ったりせず、入れやすいように開けておきます。

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こんな感じで入れます。

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スカリがいっぱいになるまで、獲り続けます。

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腰にビクを付けておけば、毎回上がってスカリに入れなくても、
しばらくの間、腰ビクに貯めておいて、いっぱいになったら
スカリに入れに行くと効率的です。

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どんどん貯まってきてます。

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あ!サザエが水面から確認できました。
わかりますか?

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2メートルほど潜って確認。
わかりますか?


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さらに3メートルほど潜ると、
はい!発見!

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手で掴み獲ります。

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一旦、水面に上がって呼吸を整えていると、
また発見しました!!
写真だとわかりづらいですね。

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潜ると一目瞭然です。

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岩と一体化してはいますが、
サザエはボコッと盛り上がっているのでバレバレです。

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手で掴んで、

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岩から剥がし、簡単に捕獲できます。

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スカリの中にたっぷりのサザエと中央付近にアワビも!

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今回お世話になったのは、漁師の武藤さんの息子さんで、海遊びの師匠でもある武藤さん(右)。
一緒に潜ればわかりますが、さすがの潜水能力です。

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素潜り漁のあとは、近くの温泉まで。
入り口には、イカがサザエを抱いている木工作品がありました。

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サザエのホームグラウンドだった海から上がって来さえすれば、
まな板の上は僕のホームグラウンドです。

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『むき棒』と呼ばれる貝むき道具で一気に剥いていきます。

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サザエの100個剥き。
近所の漁師さん方は、この剥き方を知らなかったらしく、
僕のスピードに驚愕されていました。
そして、教えてくれと言われました。
もちろん、お教えします!
というか、逆に、どうやって中身を取り出していたのか聞いてみると、
ハンマーで割っていたそうです。

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この海でサザエがたくさんおります。

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素潜り漁、午前の部を終えると、サザエごはんが!!
サザエの旨味がごはんに移って、もう美味し過ぎますって!


以下
ここからしばらくは、サザエのグラビア写真です。

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アワビに吸い付かれているサザエたち。

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サザエに吸い付くサザエ。

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サザエのアベックみたいでカワイイです。

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良く観察すると、本当に不思議な構造をしています。

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このトゲトゲは一体何か?
身を守るためにとも言われてはいますが、
サザエは、環境に応じてトゲを作ったり作らなかったりします。

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トゲが小さかったり、トゲが無いサザエは
内海などで波が穏やかなところに生息しています。
逆に波の強い外海などのサザエは、
棲みやすい環境から流されて転がってしまわないように、
トゲが岩の間などに引っかかってとどまれるように
長く発達しています。

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ちなみに、長崎県 壱岐(いき)のサザエ はトゲトゲが凄かったです!

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殻の細かい縞模様は、殻を成長させるために外套膜から1日ごとに分泌されるカルシウムが固まって線になったものです。
一線が一日、成長とともに中央から外に向かって刻まれて、
それが螺旋状(らせんじょう)に連なっていきます。
だいたい何日目のサザエなのかは、これを数えるとわかります。
この線は、オゴノリ、テングサなどの海藻を食べると赤褐色になって、
カジメやアラメを食べると白くなります。

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サザエのフタもまた興味深いパーツです。
これも、殻同様に体を守る役割がありますが、
サザエは、殻の中に容積の10分の1ほどの海水を蓄えておくことができて、
陸上に上がっても3,4日間生きています。

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サザエがフタを閉じる力は、約10kg前後まで耐えられるようです。
フタの細かなザラザラトゲトゲの意味も知りたいところですね。

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フタが開いてきました。

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が、これくらいまで開くと海水が無いことに気がつくのか、
身の危険を感じて、高速でフタを固く閉じてしまいます。
実は、この中央に白く見える部分の付け根あたりに目があって
見てるんです!

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フタと身の境目部分にあたる身のトラ柄模様が、またなんとも美しいです。

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3つほど剥いて、剥かれたサザエの観察をしていきます。

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抵抗は出来なくなってしまったものの、

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身の部分はまだまだ元気に動く頭蓋触手。
サザエの足や胴体と言われている部分です。

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そしてこのピロッとした部分。
ざらざらしているのですが、

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サザエの牙に繋がっている歯舌という部位です。
食感が非常に宜しく無いので、大概は処分されます。

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赤い筋肉で覆われていたこの白いのがサザエの牙です。
アワビの牙とほぼ同じ形です。

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下の白い蓋の部分と虎柄の前頭触手の間に包丁を入れて切り離します。

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いつも見る可食部位です。

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殻の中に残った肝と筋肉を指でつるりと取り出しました。
右がメス、奥に見える内臓については下記します。
左がオス、オスの奥に見える同系色のものが筋肉。

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その上に見えるのはサザエの肛門菅。
そこから反時計回りに左下までぐるっと見える外套膜腔を通って
貝殻の外へ押し出されます。
ちょうど中央に見えるのがフンです。
サザエを食べた時に感じる苦味は、
この外套膜(がいとうまく)です。
サザエの袴(ハカマ)とかサザエのふんどしとか、サザエのヒモと呼ばれる部分です。

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このクルクルと巻いている部位(消化腺)が美味しいところです。
先端にいくほど、サザエの栄養が貯蔵されています。

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真上から見るとわかりやすいです。
クルクルした緑色が茶色に変わる部分までが消化腺です。

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このグルグル模様の茶色の部分は腸管の一部、
Spiral caecum(渦巻き盲腸)です。
この部位から筋肉にかけては、エラや生殖腺の排出管、砂など
様々な内臓や不可食部位が収納されているので切り落として処分し、
盲腸から消化腺側をサザエの肝として食べることをオススメします。

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これがサザエのエラです。

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左から、肛門管、筋肉(貝柱のような)、内臓の始まり

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サザエを丸ごと壺焼き(つぼやき)にして食べると
このフンも一緒に食べることになります。。。
少しザラザラ、ジャリジャリしてたりします。
一度殻から剥いて、下処理をしてから殻に戻して壺焼きが基本です。

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どこから切り落とせば良いか、もうわかりますね?

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剥きたてのサザエを洗って、生で食べていきたいと思います。

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強く塩揉みなどしなければ、丸ごとでも歯で噛める柔らかさです。

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丸ごとだと硬いだろうと、スライスすると、逆にサザエ自体が細胞をギュッと引き締めて、コリコリに硬くなってしまいます。

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肝の先端部分(消化腺)のみ、生で食べるとねっとりして美味しいです。

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サザエの肝(オス)に味噌とネギを加えて叩いて

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サザエの肝のなめろうにしても美味しいです。

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汁まで飲めるサザエの優しい煮物

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サザエのにんにく炒め

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サザエの筋肉(貝柱)の煮物

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サザエ串


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おまけのアワビのお刺身

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サザエ三昧の食卓

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サザエの串を炭火焼きで軽く火を入れます。

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少し焼けてきたらひっくり返して

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濃いオレンジ色が薄くなってきたらもうOKです。

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半ナマのサザエも美味しい食べ方です。

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サザエの燻製

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サザエの素潜り漁のあと、漁師さんらと一緒に
日本海をバックに食べる夕食は最高のサザエ経験となりました。

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サザエごはんの焼きおにぎり

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生サザエの味噌漬け

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サザエの肝(オス)醤油漬け
クリーミーな苦味

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サザエの肝(メス)醤油漬け
パンチのある苦味

初心者の方は、白(オス)からをオススメします。
白が食べられたら、緑(メス)もチャレンジ!

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生サザエの味噌漬けとサザエの生肝の醤油漬け寿司

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こちらは、長崎県壱岐にて、
バーベキューの定番、サザエのつぼ焼き。

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壱岐の浜の家をお借りして、サザエの汚れを洗っていきます。

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網の空いた場所でサザエも焼き始めていきましょう。

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バーベキュー網の上にあるサザエは、本当に絵になります。

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イシガキダイも美味しそうに焼けてきました。

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サザエは火が入ったので、蓋を外して、お皿に盛り変えます。。
サザエを剥かずに丸ごとつぼ焼きにした場合は、
例のところは切り離して食べましょう。

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静岡県西伊豆町仁科浮島で潜った時にみつけたジャンボサザエ。

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こちらは、神奈川県真鶴町のサザエ
トゲトゲが長いです。

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新潟県 佐渡で潜った時の写真です。

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石川県七尾市
villa della pace(ヴィラ・デラ・パーチェ)にて、墨絵のサザエ

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兵庫県新温泉町三尾地区のお母さんよりサザエをいただきました。

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あの場所のサザエの殻はトゲトゲ率高めです。

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雌がやや多めでした。

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希少な三尾の天然わかめをたっぷりと食べて育っているのがわかりますね。

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牙で細かく千切って体内に取り込んでいるのもわかります。

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肝の先端部分(消化腺)と筋肉(貝柱)に分けます。
外套膜(がいとうまく)はこれくらい取り除いておけば、苦味は感じません。

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サザエのメイン可食部である身の部分、
まだまだ元気に動く頭蓋触手は、サザエの足や胴体と言われています。

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こちらは、サザエの牙。
しっかりとサザエと同じ味がする珍味です。

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水洗いして、拭き取ったら
そのまま丸ごと口に入れて、かじって食べるのが一番好きな食べ方です。
これが噛めるか噛めないか、健康な歯のバロメーターにしています。
なるべく歳をとっても、この食べ方が出来るように
健康な歯を維持していきたいものです。