ブログ

ふなむし・フナムシ・船虫・Ligia exotica

[生き物]

IMG_20200524_165914_MP.jpg

動物界 Animalia
節足動物門 Arthropoda
甲殻綱 Crustacea
ワラジムシ目(等脚目) Isopoda
ワラジムシ亜目 Oniscidea
フナムシ科 Ligiidae
フナムシ属 Ligia
フナムシ L. exotica

IMG_20200524_165945_MP.jpg

体長は最大5cmほどで、等脚類の中でも大型です。
体は上から押しつぶされたように平たく、多くの節にわかれ、7対の歩脚がああります。
頭部には長い触角と大きな複眼があり、尾部には2つに枝分かれした尾脚が1対あります。
背中側の体色は鈍い光沢のある黒色で、
淡黄色のまだら模様があるものや、褐色の広い縁取りがあるものなどがいます。
夜は昼に比べて体色が淡く、褐色がかった色をしています。

IMG_20200524_165954_MP.jpg

動きはきわめて敏捷で、大きな動物が現れると一目散に岩石の陰に逃げ込むため、捕獲はなかなか難しいです。
通常は海に入ることはありませんが、誤って海に落ちた時は素早く体を波打たせて泳ぐこともできます。
ただし遠距離を泳ぐことはできず、水中に長い時間いると溺れてしまいます。

食性は雑食性で、藻類や生物の死骸などさまざまなものを食し、
海岸の「掃除屋」とも呼ばれています。
岩礁海岸に寝転がっていると噛まれてチクリと痛みを感じることがありますが毒はありません。

天敵はイワガニやアカテガニ、イソヒヨドリ、シギ、チドリ類などで、
海に落ちた個体は魚類にも捕食されます。

メスの腹部には卵を抱える保育嚢があり、ここで卵を保護します。
卵は初めは透き通った橙色をしていますが、やがて黒ずんできます。
孵化する幼体は小さいながらもすでに親と同じ体型をしており、
孵化後もしばらくはメスの保育嚢に掴まって生活します。
そのため、この時期のメスを捕獲すると、保育嚢の中から
幼体がゾロゾロと飛び出てきます。

どこの海岸にもいるうえに手頃な大きさでもあるので、
釣りの餌としてよく利用されますが、
容姿や素早い動きがゴキブリに似ているため、嫌う人も多いです。
近縁種の Ligia oceanica とともに、
英名で "wharf roach" (埠頭のゴキブリ)と呼ばれています。