郷土寿司プロジェクト

こけら寿司(こけらずし)

[高知県東洋町]

1sea2e3u46539.jpg

かつて捕鯨やマグロ漁で栄えた高知県の東海岸。
高知県東洋町野根。
家の代を重ね、慶び事が重なりますようにと、
お祭りやお祝いなどのハレの膳には欠かせない
お米を主役に枌板(そぎいた)と寿司を何層にも重ねて作る郷土寿司です。
150年以上昔から伝承されてきた農家さんならではの押し寿司。
東洋町の中でも特に米どころの『野根』地区では、
家を建てた時に出た材で桶を作り、
大きものは1斗ほどのお米を使って仕込んだそうですが、
高齢化や核家族化で家庭での手作りも減少。
地域の女性グループ『野根キッチン』さんが伝統の味を守り継いで
買って食べてもらえるスタイルにし、
年配の方には懐かしさを、
若い方には伝統を継承していけるようにと
2004年からこけら寿司の販売をスタートしています。

こけらとは、『木片(もくへん)』という意味です。
上にのっている具材が、木の切れ端(こけら)に似ているという説や
何層にも重なった寿司がこけらぶきの屋根に似ているとの説など諸説あります。

よばれ(宴会)には絶対で、
皿鉢の中央にこけらずしを敷き詰め、魚の姿ずしを高く盛ったりなど
家それぞれ自慢のこけらがあり、婚礼のお祝いのお返しにお皿ごと配った時代もあったそうです。


土佐酢みかん&土佐寿司祭り2019 にて、
こけら寿司が登場しました。


1sea2e3u46534.jpg
僕の隣りのお席に座っていたおじさまが
地元の郷土寿司『土佐こけら寿司』のご紹介をということでご登壇。

1sea2e3u46538.jpg
なんと、東洋町の隣り、
高知県 室戸市の市長 植田壮一郎さんでした。^^;


1sea2e3u46529.jpg
そして、いよいよ
城西館 料理長の松本昌時さんによる『土佐こけら寿司』のお披露目です。
この立派なこけら寿司用の型、かつては家を建てた際の木材などを利用して作られていて
各家庭に1つは型があり、
母から娘へ家庭の味とともに代々受け継がれるものだったそうです。
一回に大量のお米を使用して作るため、
昔は朝早くから作り始め、夜の宴会に間に合うように
みんなで作ったと言われています。
今では、家庭で作る機会がなかなか無くなってしまいましたが
それでも昔懐かしいふるさとの味としてみんなから愛されているお寿司です。

1sea2e3u46533.jpg
おおおおおおおおおおおおおお!
と会場から歓声が。
ちなみに、この日は、200人ほどのお客様が会場にいらしていました。

1sea2e3u46537.jpg
でーーーーん。と
味の決めては、サバ。
焦がさない様に焼き、皮と血合いを取り除いてゆの酢に浸し、
うまみもねばりも強い野根産のコシヒカリにそのまま混ぜます。
冷凍設備のない時代は、サバがなければ、ブリやウボゼ(イボダイ)、アジも使ったそうです。

1sea2e3u46539.jpg
1升くらいの小さなものから1斗ぐらいの大きなものまで木型があるそうですが、
この日は、お米を5升使ったこけら寿司。
桶に酢飯を平たく入れ、甘く炊いたニンジンにシイタケ、玉子焼きを置いて薄い板で仕切り、
5段も6段も積み、重石をしてぎゅっと固めてあります。
どれだけ多くのお米を使うかが、ご馳走の証し。
その重量感ときっちり押し込まれた米の密度から
昔は『投げても壊れない寿司』と言われたほど食べ応えがある郷土寿司です。

1sea2e3u46540.jpg
1段1升のお米を使用するので、
5段で5升です。

1sea2e3u46541.jpg
松本昌時料理長が手際よく切り分けていきます。


地元の主婦グループ4人で結成された『野根キッチン』の 
【こけらずし】のレシピ
〈材料〉
米 5合(※品種は、野根こし光)
サバ 250g
人参 1本
人参の葉 2枚半
干しシイタケ 5枚
卵 1個

酢にごし
 ゆず酢 75cc
 酢 50cc
 塩 15g
 砂糖 30〜50g
 化学調味料 少々

1 シイタケは水戻しして石付を切り落として、砂糖、醤油、味醂で甘辛めに煮る。
2 人参は皮を剥き丸のまま少量の塩を入れて下茹でしたあと、
だし汁、砂糖、醤油で少し甘めに味付けし最後に味醂を少々入れて仕上げます。
3 卵は割りほぐして、砂糖、塩で味付けし薄焼き卵にする。
酢飯の上にのせる具材の切り方は人参は輪切り、シイタケは薄切り、薄焼き玉子は短冊切りにします。
4 サバをパサつかない程度に焼き、身をほぐして血合いや小骨を取り除いて、
分量のゆず酢を焼きサバに浸し、ゆず酢にサバの旨味を出します。これが『酢にごし』です。
5 炊き上がったご飯に、調味料と酢にごしを入れて酢飯を作り冷ましておきます。
6 酢飯が冷めたら寿司桶の内側にゆず酢を少し塗り、酢飯を均等に入れ、具材をのせます。
(この具材を均等に美しく飾り付けるのが実はなかなか難しいと言われています。)
最後に切り分けた時に、いきわたる人それぞれに、具材ムラがないように注意しながら。
7 間に枌板(そぎいた)を挟み、その工程を繰り返し幾重にも重ねて詰めます。
8 重石をのせて1時間ほど置きます。
9 枠を外します。
10仕切り板の上で約5cm幅に切り分けます。
11それをまな板にのせて食べやすい大きさに切ってお皿に盛りつけます。


【こけら寿司】
寿司飯、具材を何層にも重ね、上から重石をして固めて作ります。
大きいものでは10升ものお米で作ることもあります。
【KOKERA SUSHI】
Kolera Sushi is made by stacking multiple layers of sushi rice and other ingredients on top of one another in order to be compressed.
Which , can result in servings weighing from 14-15 kilos in rice alone.


PXL_20221023_100917217.PORTRAIT.jpg
こちらは、「2022 土佐の酢みかん&土佐寿司まつり」にて

PXL_20221023_101037010.jpg
会場の方々も協力して木枠を持ち上げていきます。

PXL_20221023_101041099.jpg

PXL_20221023_101044368.jpg

PXL_20221023_101108267~2.jpg
ドドーーーーン!
前回とはまた違ったデザインになっていますね!

PXL_20221023_101155933.PORTRAIT.jpg
エンターテインメント性抜群の「こけら寿司」、皆で撮影タイムです。


【こけら寿司オープンの儀(ショート動画)】

PXL_20221023_101136078.PORTRAIT.jpg

PXL_20221023_101123947.PORTRAIT~2.jpg

PXL_20221023_101138692.PORTRAIT.jpg

PXL_20221023_101131208.PORTRAIT.jpg

PXL_20221023_101128087.PORTRAIT.jpg

PXL_20221023_121237836.PORTRAIT.jpg
一人前ずつ取り分けられたこけら寿司
ドカン!と作って、小分けにして分かち合う。
これもこけら寿司の特徴の一つですね。

PXL_20221023_121223942.PORTRAIT.jpg